なんだかいつもと違う…犬の息が荒いときの原因は?

運動をした後や気温が高い日などは、犬が舌を出して「ハッハッ」と呼吸している姿が見られます。これは体温調節のための呼吸なため心配はありません。では気を付けた方が良い犬の息が荒い状態とはどのような場合なのでしょうか。この記事では犬の息が荒いときの原因と、考えられる病気について紹介していきます。

 

正常な犬の呼吸について

犬の正常な呼吸数は15~28回/分です。通常時は鼻呼吸をしており、体温調節のために舌を出して行う呼吸はパンティングといいます。運動の後や夏の暑い日などによく見られ、犬には汗腺(エクリン汗腺)が肉球の周囲にしかないため、パンティングで体温調節を行うのです。犬が「ハッハッ」と舌を出して荒い呼吸をしていても、散歩や遊んだ後などの一時的なものであれば正常の範囲内でしょう。

 

異常に犬の息が荒いときに考えられる原因と病気

特に理由もないのに荒い呼吸がずっと続いているなど、異常に犬の息が荒いときにはどのような原因が考えられるのでしょうか。また原因となる病気についても解説していきます。

ストレスや興奮

慣れない場所や人に接して強い恐怖や緊張を感じたとき、興奮しているときなどには交感神経が活発になり、息が荒くなることがあります。このような場合には恐怖や不安を感じる対象を取り除き、犬が落ち着ける環境に連れて行きましょう。精神状態が落ち着くことで呼吸も整うようであれば様子見してもいいでしょう。

熱中症

夏の暑い日などに犬がずっとパンティングをしている、体が熱くぐったりしているなどの様子が見られるときは熱中症かもしれません。すぐに涼しい場所へ連れて行き、体を冷やしましょう。首、脇、後ろ足の付け根の動脈が通っている場所をタオルでくるんだ保冷剤で冷やすと効率的です。意識がある場合は少しずつ水を飲ませ、体を冷やしながら動物病院へ連れて行きましょう。

呼吸器系の病気

犬の息が荒い原因には呼吸器系の病気も考えられます。どのような病気の可能性があるのかご紹介します。

肺炎

肺炎にかかる多くの原因は細菌です。そのほかにも真菌、寄生虫、薬剤、腫瘍によるものがあります。症状は発熱、咳などで、進行すると呼吸困難になってしまうことも。診断には聴診、血液検査、胸部のX線検査を行います。細菌感染が原因の場合は、抗菌療法を用いる場合が多いです。また口の中の粘膜が青白いなど低酸素状態(チアノーゼ)がみられるときには酸素療法を行うこともあります。

短頭種気道症候群

短頭種とは「鼻ペチャ」と呼ばれるパグ、ブルドッグ、フレンチ・ブルドッグ、ボストンテリアなどの犬種のことで、顔の特徴として鼻の穴が小さく、空気の通り道が狭い犬に短頭種気道症候群がよくみられます。症状には寝ているときにいびきをかく、呼吸するときにブーブーと音が鳴る、呼吸困難、低酸素状態(チアノーゼ)などがあります。治療には一般的に外科手術を行い、鼻の穴を広げるなど気道を狭くしている原因を一部取り除く方法をとります。

心臓の病気

犬の息が荒い場合には心臓の病気が原因となる場合もあります。原因となる病気をみていきましょう。

僧帽弁閉鎖不全症

僧帽弁(左心房と左心室の間にある弁)が変形することによって、二つの部屋が完全に閉じなくなり、血液が左心室から左心房へと逆流する病気です。その結果、左心房から血液が肺へと戻ることで肺にうっ血が起き、肺水腫となります。咳、呼吸困難などの症状があり、小型~中型の中高齢犬に多い病気です。治療には利尿剤や強心剤を使用します。

心室中隔欠損症

左右の心室の間にある壁が欠損しているために血流が生じる病気です。左心室から右心室へと血液が流れ、うっ血性の心不全に陥ります。軽いものだと症状も出ず、治療の必要がないこともありますが、心不全になると咳などの症状があらわれます。治療は僧帽弁閉鎖不全症のように、利尿剤などを用いて心臓への負担を和らげる方法をとります。

心筋症

心筋症には「拡張型」「拘束型」「肥大型」の3つがあり、犬では拡張型心筋症が最も多くみられます。心筋の働きが低下し、血液を十分に送り出せなくなることでうっ血性の心不全を発症します。ボクサーやグレートデンなどの大型犬で多くみられ、症状は咳や呼吸困難、疲れやすくなるなどです。治療は心不全と同様に利尿剤、血管拡張剤、強心剤などを使用します。

肥満や老化

犬も年を取ると、どうしても体の機能は衰えます。太った体を維持するのも呼吸器や心臓に負担がかかるため、少し動いただけでゼイゼイと息が荒くなってしまいます。病気が隠れていることもあるので定期健診を行い、肥満体なら減量することで健康寿命を延ばせるでしょう。

 

異常を感じたらすぐに動物病院へ

パンティングがおさまらない、呼吸音に異常な音が混ざっている、特に理由もないのにパンティングをしている、口の中の粘膜が青白いといった異常な様子がみられるときは病気の可能性が高いです。様子見はせず、すぐに獣医師に診てもらいましょう。いつもと違う呼吸をしている様子を動画で撮影し、詳しい状況をまとめてメモしておくとスムーズに情報を伝えられます。

 

自宅で使える酸素濃縮器もある

呼吸器の病気の治療として動物病院で酸素療法を行っている場合、自宅でも酸素濃縮器によるケアを行うことができます。

O2 Chargeは、毎分最大15Lという業界最高水準の酸素流量があり、手軽に高濃度酸素を取り込むことができます。病気のホームケアとしてだけでなく、年を取ってきた愛犬の健康管理としても利用できます。自宅で酸素濃縮器を取り入れたいときは、かかりつけの獣医師にも相談してみてください。

詳細は、オーツーチャージの使い方ページをご覧ください。

 

まとめ

犬の息が荒い、パンティング自体はよくみられる現象ですが、思わぬ病気が隠れていることもあります。中には進行が速い病気もあるため、いつもと様子が違うと感じたら、すぐに動物病院へ連れて行ってあげてください。愛犬の健康を維持するためにも、日頃から状態をよく観察し、異常にすぐ気づけるようにしておきましょう。